お酒が体内に入ってから排出されるまでの一連の流れを解説します。難しいところもありますが、これを理解することで二日酔いにならないための知識がつきますので是非一度読んでみてください!
アルコール分解の流れ
アルコールは胃や小腸から吸収され肝臓へ
体内に入ったアルコールは約20%が胃、約80%割は小腸から吸収され血液に溶け込み、全身へと広がった後に最終的に肝臓へと運ばれます。
よく牛乳を飲むと膜が張って吸収がゆっくりになるといわれていますが、実際には牛乳では膜はできないことがわかっております。
吸収をゆっくりにさせるものには、「油脂類、酢酸、クエン酸」などの有機酸が有効とされていますのでこれらの成分が含まれているサプリや食事をとるようにしましょう。
なお、アルコールは約90%が肝臓で代謝されますが、残りの約10%程度は体内を循環し、最終的に汗や尿、呼気として対外に排出されますがアルコールを飲むと尿からマグネシウムの排泄が増えるため「マグネシウム」の補給をしてあげると良いでしょう。
顔面紅潮や二日酔いの原因となる”アセトアルデヒド”が肝臓で誕生
肝臓に運ばれたアルコールは、アルコール脱水素酵素によってアセトアルデヒドに分解されます。このアセトアルデヒドはお酒を飲んだ時の顔面紅潮、動悸、吐き気、頭痛、二日酔いなどを引き起こす原因となる物質です。
アルコール分解酵素には3つの種類があり、それぞれ補うべき栄養素も異なります。
ADH
アルコール分解酵素のうち約90%はADH(アルコール脱水素酵素)による分解です。最も重要なアルコール分解酵素となりますが、このADHは「ビタミンB3(ナイアシン) 」と「亜鉛」を栄養素としますのでこれらの栄養素を補給強化してあげることが大切です。
ナイアシンはNAD+という成分に代わりアルコールの分解に効果を発揮します。
MEOS
全体のうち約5-10%はMEOS(シトクロムP-450依存性モノオキシゲナーゼ)による分解です。MEOSはアルコールを頻繁に摂取していると徐々に増えてくるので一時的にアルコールの分解能力が上がりますが、あまりMEOS経路を酷使すると肝臓に大きな負担をかけてしまいます。毎日お酒を飲んでMEOS活性を高めたい気持ちもありますが、定期的に休肝日を設けて肝臓を労わってあげましょう。なお、MEOSが働くためには、沢山の「ビタミンB1 」と「鉄分」「ビタミンC 」が必要となりますのでこれらの栄養素を補給強化してあげることも大切です。ビタミンCが足らないとアセトアルデヒドが体外に出されるのが遅くなるとも言われていますのでビタミンCも是非取りましょう。
なお、鉄分は吸収率の良い「ヘム鉄」を取ることをおすすめします。ホウレンソウなどの非ヘム鉄に比べて、レバーに含まれるヘム鉄は吸収率が6倍です。また「ビタミン」や「葉酸」をセットで取ると鉄分の吸収率があがるので是非一緒に摂取しましょう!
カタラーゼ
その他、アルコール分解を行うものとして、カタラーゼによる代謝もありますが一般的には他の2つに比べて弱い傾向です。カタラーゼは「鉄分」を栄養素とするので、鉄分を摂取が大切です。
アセトアルデヒドが分解され体外に排出
肝臓でつくられたアセトアルデヒドを分解してくれるのがALDH2(アルデヒド脱水素酵素2型)と呼ばれる酵素でALDH2はアセトアルデヒドを酢酸に分解し無毒化してくれます。無毒化された酢酸は体内を巡る間にさらに水と炭酸ガスに分解され、無事に体外へと排出されていきます。肝臓で分解しきれなかったアルコールは一度、肝静脈を通り心臓から全身を巡り、再び肝臓に戻って分解されていくという流れを繰り返します。
このALDHも「ビタミンB3(ナイアシン)」を栄養素とし「 NAD+ 」という成分に代わり、アセトアルデヒドの分解に効果を発揮しますので、ビタミンB3をたくさん摂取することが大切です。
その他アセトアルデヒドを分解する効果があるのはグルタチオンやL-システインという成分ですが、 L-システインは体内での分解速度が速く体内にあまり長くとどまれないため、できればL-システインを生み出す前駆体である「NAC 」という大元となる成分を取ることをおすすめしますが、NACでは日本ではあまり手に入りにくいのでその場合はL-システインを取るようにしましょう。
顔が赤くなりやすい人は残念ながらこのALDH2 を体内で合成する量が遺伝的に少ないため、遺伝的に合成量が多い人に比べて顔面紅潮、動悸、頭痛が起こりやすいのですが、日本人では約50%は顔が赤くならずにお酒を飲めるアルコール分解能力が強い人、40%はある程度お酒は飲めるがALDH2の量が少ないため顔面紅潮、動悸、吐き気、頭痛につながりやすい人、約10%はお酒をほとんどor全く飲めない人です。
なお、顔が赤くなる原因はアセトアルデヒドが末梢血管拡張物質であるヒスタミンやブラジキニンなどを遊離させ末梢血管を拡張させるために起こります。そのためアセトアルデヒドの量を減らすとともに、これらの血管拡張を抑えることも大切です。
血管を適度な状態に保つために有効な成分として有効なのは「マグネシウム」と「ビタミンB2 」です。マグネシウムを多く含む食事は、バナナ・豆類、ナッツ類など。また、ビタミンB2を多く含む食品はヨーグルト・納豆・うなぎ・ほうれん草などです。
赤ワインやチョコレートに含まれるポリフェノールや、チーズや玉ねぎに含まれるチラミンは血管を拡張させる効果があるので要注意です。
まとめ:とるべき全栄養素のおさらい
以上、アルコール分解に関するステップとその中で必要な成分や栄養素について解説をしましたが、これまでに解説した成分のおさらいです。
- 油脂類・クエン酸・酢酸
- マグネシウム
- 亜鉛
- ビタミンB3
- ビタミンB1
- ビタミンB2
- ビタミンC
- 鉄分
- NAC(or L-システイン)
沢山の成分がありこれら全てを摂取するのは大変でが、これらをサプリなどで効果的に摂取することができれば、普段よりもかなりのアルコール分解の補強ができると考えます。
お酒が大好きな皆様だと思いますので、これからも少しでも長く楽しくお酒を楽しめるように、時には休肝日を設けつつ、ここぞという日はこれらの栄養をしっかりと取りながら末永くお酒ライフを楽しんでいただけたらと思います!